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木製書棚

依頼仮プレ中心徒然置き場。
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  • 2024/05/19

紫煙消える夜

張り詰めたような夜の空気
窓から吹き込むのはきんと冷えた風
揺れたカーテン越しに
夜空が見え隠れする

その空へと立ち上る紫煙は 消えつつあった


窓の外から聞こえる微かな喧騒から逃れるように
静かに 娘は寝返りをうった

 

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*

見つめるは、前

静寂満ちた部屋に小気味よい音が一つ
両頬に走った痛みは自分の両手によるもの

じんと後を引く痛みに小さく息を吐いた


見据えた瞳は真っ直ぐに、前へ

地につけた足は身を立たせて

乾いた頬に今一度手を触れて

歩かなくては

*

漣の裡

彼は…彼の心のままに成した。
それはとても尊くて。

そして……だから、信じて、待てるわ。
ただ待つでなく。
そんな彼を迎えるに恥ずかしくない私で。
今、成す事を。
彼に、報告すべきことを、しっかと。


……胸を張って、迎えられるよう。
凛、と。

*

星想い

ジスンから終焉の話を聞いたとき、
ふと思い出したのは、人づてに聞いた話。

亡くなった人の命は、星となって遺された者を見守るのだ、と。
そして、遺された者の幸せを見届けたならば、新たな命に生まれ変わるのだ、と。
遺された者が哀しみに暮れていたならば、いつまでも星のままなのだ、と。

……では、遺された者の幸福を、見ること叶わない星は……?

過去に浮かべた疑問が脳裏を掠め、
言い知れぬ思いに駆られては、鼓動が跳ねる。
星の謂れは、それだけではないのは解っている。
その謂れが、ただの話の一つであることも。
最後の一文は、遺された者への教訓であるだろうことも。

そうだとしても。

星に宿った想いも、命も。
今を生きる命も、想いも。

潰えさせてはならない、と。

沸き上がる気持ちで闇駆ける身を押し、星臨む空の下へと。

*

師を想う

星を見上げた夜。
誕生の祝いにと語った話は、遠い空の記憶。

……彼について語ったのは、どれくらい振りだったかしら。

先日語ったあの星空と、
遠い日の星空を思い出して、描かれた空を見上げる。
紫煙が揺らめき、少しだけ…その空すらも遠く見えた。

ねぇ、エーデ。
貴方は今も何処までも続く空のもと、旅をしているのかしら。
よもや、地に伏してなどいないでしょうね。
…………いいえ、それは要らぬ心配ね。
そんなことを考えたと知れたら、怒られてしまうわ。
額に指弾いて、『生意気だ』と言われるかしら。

深き森の如くの瞳は、新たな思い出を刻んでいるのでしょう。
私も、少しずつではあれど、想い出の輝きを増やしているわ。
いつか再び逢い見えたなら……貴方に語れるものは胸の内に。

「……でもまだ、あの頃の貴方の歳にも満たないのよね」

指折り数えても、変わるはず無く。
今逢ったとて、変わらずに子どもの扱いを受けるのだろうか。

……………。

「らしくないわね」

彼を思い出し、想い馳せる自分がなんだかおかしくて。
小さな息を吐いて、傍のイェレを抱き上げる。

懐かしくないといえば嘘。
逢いたくないかと問われれば、そうではない。
ただ、こんなふうに思い出して、懐かしむのはあまりに久々で……
我が事ながらこそばゆくなった。

それだけ。

不思議ね。
もう、何年もそんなことは無かったのに。
理由はわからないけれど。
彼の話をした夜が…心温かかったからかもしれない。

感情の呼び名わからぬ笑みを一つ零して、明かりを消す。
今日はいい夢が見られるかもしれない。
漠然とした予感を抱いて、意識を委ねた闇はどこか優しかった。

 

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